マーケティングは何から始めるか。この言葉で検索された方は、おそらくもう、やるべきとされていることを一通りご覧になったあとだと思います。SEO、SNS、広告、メール、動画。どれも大事だと書いてあって、だから手が止まる。
私も同じところで止まっていました。全部やろうとすると、ひとりでは一つも終わりません。結局、その月は何も変わらないまま過ぎていきます。
この記事では、手を付ける順番を一つに絞る、という考え方を書きます。何を後回しにしていいかも、あわせて書きます。
この記事でわかること
- やることが決まらないのは、順番を決めていないからだということ
- 最初の一つは「連絡先を受け取る場所」を作ることだという理由
- 広告で買うものを、その場での購入からお客様の情報に変える形
マーケティングを何から始めるかが決まらない理由
なぜ着手する場所が決まらないのか。やるべきことが並列に並んでいて、どれが先かが示されていないからだと考えています。一覧を見ても、順番が書かれていなければ選べません。
並べられると、どれも同じ重さに見える
入門記事の多くは、手段を横並びで紹介します。SEOの説明、SNSの説明、広告の説明。それぞれは正しいのですが、読み終えたときに残るのは「たくさんある」という印象だけです。
一つひとつの効果や期間は違うのに、並べられると同じ重さに見えてしまいます。決められないのは判断力の問題ではなく、判断に必要な順番が渡されていないからです。
たとえば検索から人が来るようになるまでには、半年単位の時間がかかることがあります。一方で、広告は出した翌日から人が来ます。かかる時間も、必要な費用も、続ける負担もまるで違うのに、一覧では同じ大きさの見出しで並んでいます。
全部やる前提は、ひとりでは成立しない
従業員を抱える会社なら、複数の手段を同時に回すこともできます。ただ、社長がひとりで実務も持っている場合、同時に動かせる数はかなり限られます。
私自身、月に確保できる時間を数えてみて、同時に進められるのは一つだと気づいてから、ようやく前に進むようになりました。
順番を一つに絞ると、次が自動的に決まる
最初の一つを決めると、二つ目は「その一つを動かすために必要なもの」として自然に決まります。逆に、最初が決まらないうちは、二つ目以降もずっと選べません。
ですから、迷っている時間を短くするいちばん簡単な方法は、着手する場所を一か所だけ決めてしまうことです。
最初の一つは、連絡先を受け取る場所を作ること
では、その一つは何か。私の答えは「お客様の情報(連絡先)を受け取る場所を一つ作ること」です。人を集めるより前、商品の見せ方を磨くより前に、ここが先だと考えています。
売る場所より先に、受け取る場所
多くの方は、売るためのページを先に作ります。値段が書いてあって、申し込みボタンがあるページです。ここに人を連れてくると、今すぐ買いたい方だけが反応し、それ以外の方は静かに離れていきます。
離れた方の情報は、何も残りません。翌月にもう一度会おうとすれば、また同じだけの費用と手間がかかります。
ここで見落とされやすいのは、離れた方の大半は「要らない方」ではない、ということです。今はまだ検討の段階だったり、決める時期が先だったりするだけで、半年後にはお客様になり得ます。売る場所しか用意していないと、その方々と二度と会えなくなります。
受け取る場所がないと、集客はすべて通り抜ける
SNSでも、検索でも、広告でも、人を連れてくる手段そのものは選べます。ただ、連れてきた先に受け取る場所がなければ、流れていくだけです。広告の効果が出ないときも、原因が広告ではなく行き先にあることは珍しくありません。この構造は広告を出しても効果がないのは、広告が悪いからではありませんで詳しく書いています。
受け取る場所は、1ページで足りる
立派なサイトを作り直す必要はありません。資料や簡単な診断と引き換えに、お名前とメールアドレスを受け取る1ページがあれば始められます。
渡すものの作り方は、ホワイトペーパーを自分で作るに構成の型をまとめました。外注しなくても、手元の経験から作れます。
着手する順番を四つに分ける
最初の一つが決まると、残りは並べやすくなります。私が自分の事業で踏んだ順番は、次の四段です。
| 順番 | やること | 目安の期間 |
|---|---|---|
| 1 | 渡すもの(資料・診断)を決める | 1〜2週間 |
| 2 | 受け取る1ページを作る | 1週間 |
| 3 | 人を連れてくる | 翌月から |
| 4 | 集めた方へ案内を送る | 続けて毎月 |
1番目:渡すものを決める
買う気のない段階の方が、それでも受け取りたいと思うものを一つ決めます。ご自身がよく聞かれる質問を書き出すと、たいていその中にあります。
ここで時間をかけすぎないことも大切です。完成度より、まず一度世に出してみるほうが学べます。
2番目:受け取る1ページを作る
渡すものが決まったら、それと引き換えに連絡先を受け取るページを作ります。入力項目は少ないほうが残ってくれます。ページを作ったのに反応がないときの直し方は、LPから問い合わせが来ないとき、直す順番にまとめています。
3番目:人を連れてくる
ここで初めて広告やSNSが出てきます。順番としては三番目です。私が自分の事業で回した月は、Meta広告に88,956円を使い、お客様の情報が29件集まりました。1件あたり約3,100円です。
※ 2026年8月・歯科医院の院長向けの数値です。業種・地域・広告予算によって結果は変わり、同じ数字をお約束するものではありません。
この29人のうち23人(76.7%)が次のご案内にも申し込み、数か月後に70万円の契約が1件決まりました。三番目に着手したものが成果に見えますが、支えているのは一番目と二番目です。
ご自身の条件だといくらになるのかは、広告費用対効果シミュレーションで、5つ選ぶだけで試算できます。
4番目:集めた方へ案内を送る
連絡先が手元に残っていれば、追加の広告費をかけずにご案内を出せます。ここまで来て、ようやく毎月の売上が積み上がる形になります。
送る内容は、売り込みである必要はありません。私の場合は、よく聞かれる質問への答えや、実際にやってみた結果を月に1〜2回お送りしています。読んでいただけているうちは、必要になったときに思い出してもらえます。
この四段のうち、多くの方は三番目から手を付けます。人を連れてくるところがいちばん目立つからです。ただ、一番目と二番目がないまま三番目を強めても、出ていく費用だけが増えていきます。
後回しでいいこと、いま必要のないこと
順番を決めるということは、やらないことを決めるということでもあります。よく先に手が伸びるものを三つ挙げます。どれも悪いものではなく、時期の問題です。
ロゴやサイトの作り直し
見た目を整えると仕事をした気持ちになりますが、連絡先が残る形になっていないサイトは、きれいになっても通り抜けられます。作り直すなら、受け取るページを用意したあとのほうが判断しやすくなります。
順番を逆にすると、費用も時間も大きくかかるほうから手を付けることになります。制作を一度止めて、受け取るページを一枚だけ先に出してみるほうが、学べることは多いと思います。
SNSの毎日更新
続けられる方には有効な手段です。ただ、時間を最も多く使う割に、いつ効いてくるかが読みにくい方法でもあります。受け取る場所ができてから始めると、同じ投稿でも手元に残るものが変わります。
投稿が伸びた日に、連絡先を受け取るページへの入口が用意されていれば、その日の注目が記録として残ります。用意がなければ、数字だけが上がって翌週には戻ります。
ツールの比較検討
配信ツールや顧客管理の道具は、集まり始めてから選んでも遅くありません。最初の数十件は、表計算ソフト1枚とメールで足ります。道具選びは、進んでいる実感が得やすいぶん、いちばん時間を溶かしやすい場所です。
この記事のまとめ
手が止まるのは、やる気や知識の不足ではなく、並んだ選択肢に順番がついていないからです。順番さえ決まれば、今日やることは一つに絞られます。
- 最初にやるのは、連絡先を受け取る場所を一つ作ること
- 人を連れてくるのは三番目で、順番としては後ろにある
- ロゴ、SNS、ツール選びは、集まり始めてからで間に合う
始める場所に迷ったら、広告で買うものを、その場での購入からお客様の情報に変えるところから手を付けてみてください。
よくある質問
予算がほとんどなくても始められますか?
始められます。一番目と二番目は費用がほぼかかりません。三番目の人を連れてくる部分だけが費用のかかる段階で、そこは後から足せます。
SEOとSNSは、どちらを先にやるべきですか?
どちらも人を連れてくる手段なので、順番でいえば三番目です。受け取る場所ができる前に着手すると、せっかく来た方が残らないまま過ぎていきます。
渡す資料は、どのくらいの分量が必要ですか?
決まりはありませんが、私は10ページ前後から始めました。分量より、読んだ方がその日に何か一つ試せる内容かどうかのほうが効きます。
自分でやるのと、外注するのとでは違いますか?
最初の一巡は、ご自身でやってみることをおすすめします。どの段階で人が減るのかを自分で見ておくと、外注する段になって依頼内容が具体的になります。
効果が見え始めるまで、どれくらいかかりますか?
連絡先が集まり始めるのは早ければ数週間ですが、そこから売上につながるまでは数か月かかることが多いです。1か月で判断せず、3か月ほど見ていただく前提でお考えください。
広告費をいくら出すと、何件集まるのか
月にいくら出すと、何件のお客様情報が集まって、いつ費用を上回るのか。5つ選ぶだけで、その場で試算できます。登録は不要です。
結果をご覧になってから、小冊子『成果の出る広告の新常識』を受け取るかどうかお決めいただけます。
